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2005年09月19日

先生を選ぶこと

ヨミウリウィークリー(9.25)で「102人の親に聞いた『学力低下』の真犯人」という特集が組まれていたので、読んでみました。

「学校への不満」「学校教育に望むこと」など、首都圏と関西圏で学研の「科学」「学習」を定期購読している小学4~6年生の両親102人にアンケートをとってその結果が集計されています。

首都圏・関西圏であることと、「科学」「学習」を定期購読しているという限定された「層」なので、これらが一般的な「声」だとは思えませんが、中身はいろいろ考えさせられるものがありました。

特に注目したのが、「先生を選べるように」という章です。

この特集のコメンテーターの教育アナリスト戸田忠雄氏の主張は、

 教師を聖職視していてはダメです。学校を改革していくためには、保護者による教員評価が必要です。

さらに、記事によると、

 戸田さんの構想は、校長が、保護者の評価を50%以上入れて教員の勤務評定を行うことで、給与や昇進にリンクさせる。さらに、学級担任や教科担任は、子ども側が毎年度、選べるようにする-というものだ

ということでした。

ところが、戸田氏の主張とは違って、アンケートでは「教師に望むこと」の第一位は「教師は人格者であってほしい」が95.1%で圧倒的に高く、「保護者が教師を評価する」は、42.2%という低い数字にとどまっています。

つまり、教師個人に対しては「人格者であってほしい」と願いつつ、それを自ら評価し、場合によっては「先生を選ぶ」ことについては非現実的であり、それがそのまま「学校改革」につながるとは多くの人は考えていないということです。(小学校の教科担任制を望む声も、42.2%と低い数字でした)

小学生が自ら「先生を選ぶ」ことは、その判断基準の問題も含めて、うまくいくとは思えません。「子ども側が選ぶ」と言いながら、結局は「親」が選ぶことになるのではないでしょうか。そしてその親の判断と子どもの思いが一致するかどうかも、また大きな問題があると思います。

また、保護者による教師評価や、管理職による一元的・一方的な教師評価は、教師をサラリーマン化・営業化させ、ますます子どもたちから目が離れていくでしょう。

むしろ学校は、教師一人ひとりの個性が発揮できる方向で自由化し、「名物先生」をたくさん生み出すようにした方がいい、というのが私がずっと言い続けてきたことです。

そのことが学校を活性化させ、結果的に学校に集団的な教育力を高めることができるのだと考えています。

wrote by しおちゃんマン

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このリストは、次のエントリーを参照しています: 先生を選ぶこと:

» 「ダメ教師」の見分け方(ちくま新書)戸田忠雄 from YO、ホオコ、〓タ。ハカオー鯏豼エ。ヒ
おおよその主張は学校改革の中心を教師改革におき、教員を外部評価(藤田英典の言葉をかりれば、当事者評価)によって意識改革していこうというものであると思う。 当事者... [続きを読む]

トラックバック時刻: 2005年09月19日 23:12

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トラックバック時刻: 2005年09月20日 02:15

コメント

「保護者が先生を選ぶ」というシステムがうまく機能するためには、「教師を見る目」が養われていなければならないと思うのです。一時の思いで、選び、ちょっと気に入らなかったらすぐに変えられる(かどうか分かりませんが…)というのは、子供の教育にとってよい影響を与えるとは思えません。人と人との関係は、単なる雰囲気や、書かれたプロフィールや、少しの自己紹介で判断できるものではないでしょう。ある程度は、教育の中にも競争原理が導入されてもよいかと思いますが、「好き・嫌い」で先生を選ぶべきではないのです。現段階では、選ぶ側も、選ばれる側もまだまだ熟しているとは言えないでしょう。42.2%と言う数字も、どう評価してよいか分からないし、そんなことができるのだろうか…という思いの現れではないでしょうか。

投稿者 丹澤 三郎 : 2005年09月19日 19:32

保護者による教師選択などシステムとして成立しません。すべての保護者が希望どおりの選択を実現するということはあり得ません。ちょっと考えればすぐ分かる話です。大量に並んでいる商品を選ぶのとはわけが違います。

また、教師は専門職です。専門職に相応しい地位が与えられていない現状がありますが、専門職です。もしそれを選ぶというのであれば、教師以上の識見が必要ですし、選択の結果は選ばれた教師の側に帰すのではなく、選択した側に帰すことになります。
教師としては、あまり選択されない人の方が楽ということになります。
そんなシステムを国家的システムとして採用しているところは私の知る限りありません。

選択と評価はまた別の事柄です。

投稿者 KOYASU : 2005年09月19日 21:30

 教師は人格者であって欲しいという声の中に、「しつけや人格形成などの部分も先生にお願いしたい」という無責任な保護者の気持ちも若干含まれているのもあるのではないでしょうか。 厳しく指導しても、やさしすぎても文句を言うそういう親が多すぎると思います。
 特に最近の入学式などの行事でも、校長先生の話を聞かないで、おしゃべりに夢中になっている保護者が多くなってきたと知人が言ってました。そんなレベルの親の意見が取りあげられ、評価されるなんて時代になったら辛すぎますね。 いろいろと新聞紙上にでてくる一部の問題教師もありますが、確かに先生のモチベーションがあがらないことも多いですね。
 今日「コーチカーター」という映画を見ました。すごく感動しましたが、その中でも、カーターと保護者が対立するシーンがありました。
 生徒の将来を考えて意見するカーターと現状を主張する保護者。
 この映画のように、今の時代、真の教育者には保護者自身がついていけない。
 親のスキルアップが絶対必要だと思います。

投稿者 moritaです。 : 2005年09月19日 21:45

「良い先生を選べたら・・・」は親の願いです。私立への進学により実現出来ますが。
残念ながら親が先生を評価できるシステムは作れません。しかし、生徒に学校と塾どちらが面白いと聞けば全員が塾と答えます。教えることは同じでも塾の方がよく頭に入るというのです。
教育はスキルです。スキルの向上に先生方は年間何時間を割いているのでしょうか。

投稿者 のびぃ太 : 2005年09月20日 20:01

のびぃ太さん、全員が「塾の方がおもしろい」と答えた生徒さんとは、塾の生徒さんですか?

私は小学校の高学年担任ですが、以前同じ質問をしたら、全員が学校の方がおもしろいと答えましたよ。

「面白い」という基準のとらえ方が違うのではないでしょうか。

子どもが言うには、塾は厳しくて頭に入れなければついていけない。だからがんばって頭に入れる。学校は楽しく、自然に頭に入ってくるといっていました。

スキルの向上は、学校でも、家庭でもずっと時間をさいています。休み中でも自腹をきって研究会に参加することも多いです。これは私だけでなく、多くの教師は民間の方と同じようにがんばっていると思います。

もちろん個人差はどの世界でもあることは認めます。

投稿者 風 : 2005年09月20日 22:39

>風さん

いつもコメントありがとうございます。

塾と学校を並列に比べることに無理があるのかもしれませんね。のびぃ太さんがおっしゃるように、塾には塾の楽しさと充実感が子どもたちにはあるのかもしれないと考えています。

一方学校で「勉強する」とはどういうことなのか、最近深く考え込んでいます。

いまさらと何を考えているのかと言われそうですが、こういった時代だからこそ、学校で勉強する意味を問い直しつつ、子どもたちに生きる力としての「学力」を身につけさせるための学習が、私たちに突きつけられているのだと思います。

教師に対する批判は、私の場合は、ある意味、真摯に受け止めたいと思っています。

投稿者 しおちゃんマン : 2005年09月20日 22:56

大人と同等の腕力のある生徒たちを、
圧倒的に数の少ない教師だけで、統治
できるわけない現実。警察の力を借りない
事がいいとする無責任な美意識。

興味のない知識、なんの役にも立たない知識。
それを詰め込まれるストレス。
精神が凶悪化しやすい教室という環境。

「いじめ」は起こるべきして起こっている。
同じ環境に置かれたら、大人だっていじめをする。
僕はそう思う。次の文章は、ある本から。

「果てのない退屈に余りに長く晒された精神は
残酷な揺り籠の中で白骨と化してゐる
やがて揺り籠の中で育った狂気は 同胞争いの血を求める
数十年前に打てた手段を半年後にひとつ打つ
事なかれの悪党の遅さで国は荒み果ててゐる」
http://www6.ocn.ne.jp/~buraiha/
http://www.bungeisha.co.jp/search/detail.php?bid=21830

映画なら、岩井俊二監督作品
『リリイ・シュシュのすべて』をおすすめします。
観ていて、とてもつらい映画ですが、観てほしいです。

最後に、いま現在の僕の意見です。
なんで、政治家たちは、このひどい環境を変えないのか?
それは、選挙権のない子どもが自殺しようが、
知ったことじゃないから。

投稿者 あおぞら : 2005年09月23日 13:42

塾と学校の勉強でどちらの方がおもしろいかと、聞かれてたいていの小学生が塾の方がおもしろいと答えると思います。理由は、塾に通っている生徒の多くは、学校の勉強はペースが遅いと思っているからです。
また、ペースが遅いと思っている人も、塾の教え方が工夫されていて、わかりやすいからいい、と思っているからだと思います。

しかし、塾は優しい先生が多いと思っているのは、自分だけでしょうか?

投稿者 tttttttttt16 : 2005年09月23日 20:41

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