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2006年12月17日

第10条にこだわってみると

今までの教育基本法の、第10条にこだわってみましょう。

(教育行政) [1]教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。 [2]教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するために必要な諸条件の整備確立を目標として行わなければならない。

これを、子どもたちにわかりやすく書き換えた絵本があります。


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11の約束 えほん教育基本法
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この絵本によると、


第10条
 政府や官僚や政治家などが、教育を支配してはなりません。

 教育とは、国ではなく、わたしたち 全てに対する直接の責任を持ってなされるもの、教える人と学ぶ人の関わりあいのうちにあるものだからです。

 国や自治体は、そのことをわきまえ、施設や設備をととのえたり、予算をつけたりして、人々のもとめる学びを支えます 。

なるほど、よくわかりますね。

しかし今回の改正で、上記の

◎教育とは、国ではなく、わたしたち 全てに対する直接の責任を持ってなされるもの、

ということが、

●教育とは、国が決めた法律によってなされるもの、

に変わってしまったということです。

<参考>
上記の日記は、下記のページから引用させていただきました。
温泉大好き

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この国は、なんてことを……

教育基本法の改正……。

この国は、なんということをしてしまったのでしょうか……。

明らかに間違った方向に一歩を踏み出してしまったと感じています。

今回のことについては、多くの国民が目隠しをされてきたような気がしてなりません。いったい何が問題なのかがわからずに、あれよあれよと思う間に通されてしまった感じがします。

・反対するのはせいぜい左に偏向した教師だろ。
・改正したら戦争が起こる?そんなことはないだろ。

せいぜいこの程度の情報しか与えられていませんでした。ゆえに、もっと私たちの現場に引きつけてこの問題を提起していく必要があったのです。

個人的に「これは大変だ」と感じているのは、以下の箇所です。

第16条 教育は、不当な支配に服することなく、この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきものであり、教育行政は、国と地方公共団体との適切な役割分担及び相互の協力の下、公正かつ適正に行われなければならない。

それに対して、今までの教育基本法は、

第10条 教育は、不当な支配に服することなく、国民全体に対し直接に責任を負って行われるべきものである。 2 教育行政は、この自覚のもとに、教育の目的を遂行するに必要な諸条件の整備確立を目標として行われなければならない。

違いがわかりますか?

今までは、学校現場が「これは子どもや保護者のためにならない」と判断したら、教育基本法の規定を理由に拒否したり、よりよいものへの改善を求めたりすることができたのです。

つまり、このブログでいつも書いているように、現場から声を出せたわけです。

しかし今回の改悪によって、それは違法になり「行政の思惑を忠実に遂行するのが『正しい』教育だ」ということにもなるわけです。

「国民全体に対し直接に責任を負って」という文言が取り去られ、「この法律及び他の法律の定めるところにより行われるべきもの」という文言が代わりに挿入されるのは、教育の自主性を侵害し、教育にとってはきわめて危険なことなのです。

どうやら今回の改正は、行政による教育介入をやりやすくするのが目的で、教育は子どもや国民の要求から出発したものではないという宣言であると考えてもよいでしょう。

さて、新教育基本法をもとにして、今後どんどん法律が作られていきます。

その法律の下、地方が国の意向をくむ形で、現場への監視体制が強まるでしょう。

教員の免許更新法もすぐに作られてきそうです。「国の意向に従わない教師は免許が更新できないぞ」という「縛り」も生まれてくるでしょう。

教師はますます子どもから目をそむけ、国の意向に従うことばかりを考える者が増えてしまうかもしれません。

子どもの側に立った、学級づくりや授業の工夫やアイデア、そして自主的な研究運動は、今後、攻撃の対象になることも考えられます。

しかし…、しかしです。残念ながら教育というのは、子どもや保護者の声を無視しては成立しないのです。従って、子どもや保護者の声を無視して国の意向に沿うようにしようとすればするほど矛盾が生まれてくるのです。

学力低下や格差の問題はますます大きくなるでしょう。

いじめや不登校、進路問題等…、問題が現場に大きくのしかかってくることも予想されます。

そして学校と保護者との信頼関係がますます崩れ、教育争議が多くなってくるかもしれません。

つまり結局は、子どもや保護者の声を大切にして、共同して教育を進めようとすることを無視できなくなるのではないでしょうか。

私たち現場の教師は、そのことに確信を持って腰をすえて実践を進める必要があります。

これからが本当の闘いです。負けるつもりはありません。

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