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集金事務から学校を考える
微熱が続いていますが、午前中出勤してたまった仕事をすませてきました。午後もまだ仕事をしたかったのですが、大きな台風が接近してきているので、帰れなくなると困るのでさきほど帰宅しました。こんなことをしていたら長生きしないなと、真剣に思いました。。
さて今日は会計事務を済ませてきたのですが、浦安市は、教材等を購入し、保護者から集金をするたびに担任が「収入票」を作成し、校長の印をもらって保管しています。
一方会計ノートにもその都度収支を記帳していきますから、一日ごとの「収入票」が必要です。つまり35名のクラスで集金日に30名お金をもってきたら、その日のお金を数えて「収入票」を作成しノートに記帳。翌日残りの5名が持ってきたら、5名分の「収入票」を作成し記帳…というふうに仕事をしていかなければなりません。なかなか一日では集まりませんから人数が多いクラスでは大変です。
そしてすべての集金が集まって業者に支払いを済ませたら、今度は「支払票」を作成し、校長に印をもらいノートに記帳。同時に領収書も添付し、保管します。
また、校外学習のように旅行業者を介する場合は、業者の選定から始まり、支払いまでに膨大な書類を作成しなければなりません。そしてこれらの作業を集金日ごとに担任がやっています。相当ハードな仕事量です。そして学級担任がこのような仕事をしていることは意外に知られていません。(これをまとめる教頭先生はもっと大変であることも付け加えておきます)
ここまで細かくお金を「担任」が管理をするのは全国でもまだ少ないと思いますが、やがて広がっていくものと思います。
ちなみに、これは「募金活動」も同じです。職員会議で私は「募金活動にまでこのような作業が必要なのか?」と疑問を提起したのですが、かつて募金のお金を横領した事件もどこかであったとかで、ようするに学校にどのくらいのお金があるのかを書類上でも「証明」として明らかにしておく必要があるということらしいです。募金は外部団体からの依頼なので、"こんなに大変になるのだったら、もう募金はすべて断ろう"という声が本校にも出てきているし、市内の学校では実際にすべて断っているところもあるようです。
というわけで、集金日にはどうしても子どもと接する時間が少なくなります。子どもが一生懸命話しかけてくれているのに「ちょっと待っててね。今、忙しいから」ということになってしまうわけです。
そしてこれらの忙しさは集金事務ばかりではありません。子どもたちへの指導に直接関わらない事務が他にも膨大にあります。その結果、まじめに事務をこなそうとする教師ほど子どもたちとの距離が離れてしまうといった矛盾も起きてきています。
もう担任の仕事は限界にきています。特に全学年単学級の本校では、担任が請け負う事務的な仕事量を他校と比べてみたところ(個人的な計算方法で)、2.4倍であることがわかりました。
佐世保の事件も本校と同じような小規模校で、担任が目が行き届かなかった時間帯や場所で事件がおこってしまったことや、子どもたちの人間関係にまでなかなか目が行き届かなかったことの重大性に本校もそろそろ気付くべきだと思っています。
私は集金事務が必要ないと言っているわけではないのです。逆に必要だと思っています。ゆえにそれを推進できる学校体制を作ることが大切だと言っているわけです。つまり、これだけ細かなお金の管理を要求するのだったら、集金事務担当の職員を市が配置するべきではないでしょうか。
このことは「無理」なことではないのです。実は、今あたりまえのように配置されている図書館司書ですが、これは十数年前に組合が中心となって署名を進めて、全国に先駆けて市内全校配置が実現できた事例なのです。(全国ではまだ配置されていない地域がたくさんあります)
それまでは、図書室の本の管理や貸し出しは、担当の担任や、それぞれの担任がやっていたわけで、当然図書室はなかなか整理できませんでした。ところが司書さんがついたとたんに、見違えるほどの図書室環境と、正確な貸し出しシステムが実現しています。もちろん子どもたちの読書量も増えました。そして担任は、図書の貸し出し事務に使っていた時間を子どもたちに向けたり、授業の準備に向けたりができるようになったのです。。
先日、本校の生徒指導部会で"子どもたちと接したり話をしたりする時間を大切にしよう"という確認をしました。このような確認ができることが本校の良さでもあるのですが(多くの学校ではこれさえもなかなかできないことが多いです)、一方、残念ながら、こんなあたりまえのことを会議で確認しなければならないほど学校現場はおかしくなってきているとも言えるのではないでしょうか。
※この文章は「ザ・教室メインページのエッセイコーナー」でも紹介しています。
wrote by しおちゃんマン
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» 学級事務 from モビ’s blog
担任の仕事の一つに「学級事務」というのがあります。ぼくは小学校教師なので、中学校 [続きを読む]
トラックバック時刻: 2004年10月10日 23:29
» あ~忙しい from 今年もかいちょー?
体育の日で休みだけど、休みの日に働いとかないと破綻しちゃう。子どもたちは友だち [続きを読む]
トラックバック時刻: 2004年10月11日 21:26
コメント
台風と微熱は大丈夫ですか?
そしてお仕事ご苦労様でした。
びっくりしたのは、事務職員がいない事。いない小学校を初めて知りました。
息子達の学校は社会見学などは集金ですが、教材費は口座引き落としです。
それに事務職員いますし。
日記を読んでいたら、もっと簡素化出来るし担任の負担を減らせるのになあと思ってしまいました。
私はこんなんですが、元銀行員。
どこでもドアでお手伝いに参上したかったです。
投稿者 あつこママ : 2004年10月09日 19:28
あつこママさんこんにちは。
いや…、事務職員はいるんですよ。県の事務職員と市の事務職員が一人ずつ、合計二人配置されています。
ただ、事務職員の仕事は、学校全体のお金や備品の管理、及び職員の給与・福利厚生関連などで、これだけでもかなりの仕事量です。それで、学年や学級の会計については行いません。全国ほとんどそうだと思います。
この学年・学級の会計についてはすべて担任が処理しているわけです。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月09日 20:03
この話題は、教師フォーラムMLにも流したのですが、そちらで盛り上がっています。
ここまで細かくなくても、同じように担任がジャラジャラと小銭を持ち歩きながら苦労しているところ、逆にすべて振り込み制度にしている地域・学校もあるようです。
いずれにしても、本市のようにここまで担任に負担がかかる形で進めているところはないようです。
教育委員会の方が読んでいたら、ぜひ改善して欲しいものです。
逆に図書館司書の件は、うらやましいという声がありました。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月10日 11:44
教師の皆さんにも、いろいろな意見があるんでしょうね。
私は仕事の関係で、小学校と公立高校の担当をしていたんです。何年かですが、小学校の事務職員の方はしょっちゅう会っていましたが高校の事務は会った事がありません。小学校は事務職員が銀行に行く、でも高校は銀行が高校に行くスタイルでした。ちょっとした事でも、出向くのは大変だったろうなと今になって思います。思うんですが小学生の方がお金の管理など難しいですよね。(特に低学年)高校あたりになると、授業料も振り込みなどで親がするわけです。おまけに公立なら指示されたとおりに銀行の事務センターから各支店にその指示が行くわけです。小学校もこんな感じになるといいんでしょうね。
担任の先生の負担が減れば、その分子供達と接する時間が増えるわけですよね。ゆとり教育っていう前に担任にゆとりをあげるべきではないでしょうか?と思います。
投稿者 あつこママ : 2004年10月10日 18:32
あつこママさんこんにちは。
私たちの仕事は特に気持ちにゆとりがないとうまくいかないのです。しかしこのことは、えてして「楽をしたいと考えている」ととらえられてしまいます。
楽をしたいのではなくて、ゆとりをもって子どもたちと接していきたいのです。そこのところをなかなか理解してもらえないことが残念です。
お金の計算でイライラして、子どもたちとうまくつながれないなどというのでは、悔しくてなさけないです。
地方によっては、銀行振り込みを利用しているところがあるようですが、クラスの学年・学級会計を具体的にどのようにしているのかがまだよくわからないので、詳しい方は教えてください。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月11日 19:06
私今フッと思ったんですが、教材を買ってその都度集金なんですよね。1年分まとめて集金しないんですか?
まあ3回位には分けて集金に・・・とはなると思いますが。
今日、ある先生と集金の話になったんですが口座引き落としが羨ましいと話していました。朝受け取っても集計はその日の仕事が終わらないと出来ないし、チェックして督促出さなきゃならないし・・・とぼやいていました。
幼稚園とかみたいに、集金日だけ銀行から人が来てくれるといいんですけどね。早いし・・・ダメですかねえ。
投稿者 あつこママ : 2004年10月12日 21:16
あつこママさんこんにちは。しおちゃんマンです。
集金は教材だけじゃないところにむずかしさがあります。たとえば校外学習などもありますし。
また、一回一回の集金額をできるだけ保護者の負担にならないようにということで、私のところの市では、ほとんどの学校が月ごとに集金をしています。
そもそも義務教育にこんなにお金がかかることがおかしいのですが……、現実は毎月集金、ということになっています。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月13日 18:05
はじめまして。
時折拝見させていただいています。
同じ市内ですが、息子の学校は学期の最後の月に学期分をまとめて1日だけ集金日があります。
その日に子供が学校を休む場合には親が届けるなどして、必ず1日で全員提出するように…ということになりました。
更にその集金日には各クラスから1名の保護者が「集金お手伝い」として会議室に集まり、教室で集められた集金袋が先生から届けられると自分のクラスの全員分の中身を確認し名簿と照合してクラス分学年分をまとめています。
確か同じ日の午後には業者さんへの支払いを済ませるとのことで、集金した現金を校内に留め置く時間を可能な限り短くしているようです。
収入票や支出票というのはは先生が作成なさるのでしょうが、ジャラジャラしたお金を数えてチェックしなくて良い分作業は少なくなりますよね。
一昨年、集金作業の大変さを改善できないかと「試しに」始まったこの方法ですが、その後も続いているところを見ると上手くいっているのではないでしょうか。(それまでは毎月集金で保護者の手伝いもありませんでした)「先生方が楽をするために…」などと思っている保護者はいないと思います。
以前は林間学校費用・修学旅行費用・卒業対策費などは口座引落としで積立てていましたが(引落としに手数料が掛かるようになるということで)これらについても説明会の日などに保護者が学校に持参することになりました。説明会を欠席する保護者は出席する保護者に託すなどして提出します。説明会場ではクラス役員さんが金額を確認してまとめてくれます。これらはまとめるとかなり大金ですから、やはりそのまま業者さんに支払われているのではないでしょうか。
確かに学期分を一括したり林間や修学旅行費用の一括払いはまとまった金額になるので家計もキツイですが、前広に金額を知らせていただくことによってそれなりに準備しておくことはできます。
しおちゃんマン先生の学校も何らかの工夫ができて先生方の負担が少しでも軽減されるといいですね。集金事務員が配置されれば一番いいことですが…
ちなみに息子の学校は全校で13クラスの小学校です。
投稿者 みんみん : 2004年10月15日 01:13
みんみんさん、情報ありがとうございます。
同じ市内でも、いろいろ工夫されているところがあるんですね。ということは、集金事務を教師に「やらせる」ことに対して誰もが疑問をもっているということなのだと思いました。
本校は集金だけでなくて、早朝の交通安全指導も毎月教師が行います。
毎月教師がやっている学校は市内でも少ないと思うのですが、いかがでしょうか。
人数が少ないうえに、教師がやらなければならないことが多すぎるというのが本校の課題だと思いました。
今後ともよろしくお願いいたします。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月15日 19:35
朝の交通安全指導も保護者が中心に行っています。
今年度は週に2日子供達の登校時間に学校直近の交差点に数名の保護者が立って交通指導と挨拶運動をしています。
昨年度までは入学式の後に2週間程度、先生方と担当委員で行っていたものを今年度は拡充し全保護者で行っています。
この他にも下校時間や長期休業中の地域パトロール等もあって、月毎に担当学年が決まっています。
今年度は子供1人に対して年2回やることになったので子供が複数在籍していると保護者の負担は増えますが
自分達の子供の安全の為ですからみんな協力しています。
集金作業のお手伝いをすることになったのは、先生方の集金事務について保護者側が「やらせている疑問」を感じたからではなく
学校側から当時のPTA本部に「協力してほしい」と申し入れがあったから…と言う事でした。
本部役員が手伝うとか外注できないかとか様々な方法を保護者を交えて検討した結果決まったのです。
(交通安全指導などの拡充はPTAの委員会からの発案です)
先生の数も家庭数も減っている学校では「今までやっていたから…」と続けるだけなく
多方面からの工夫で改善していくべきことが(学校にもPTA活動にも)たくさんあると感じます。
投稿者 みんみん : 2004年10月16日 13:05
みんみんさんこんにちは。
私の書き方が悪かったので、一つだけ説明させてください。
「やらせている」のは保護者ではなくて、行政・管理職だと考えています。つまり学校の方針で教師がやっているわけです。
したがって、管理職が、保護者にお願いするという方針を出さない限り(または職員の中から、または保護者の中から、そのような声が出ない限り)本校は変わらないです。
投稿者 しおちゃんマン : 2004年10月16日 13:27
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