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学力は本当に低下したのか
学力低下が言われるようになった数年前から、私は本当に学力は低下したのかどうかがずっと疑問でした。
理由は、それまでもいろいろな都道府県が、「うちの県は、全国で学力が最下位である」と言いながら、不毛な学力向上運動を進めてきたことを知っているからです。
そんなにたくさん「最下位」があるわけがないわけで、都合のいい調査を利用しながら、そういったことを進めてきたのだと思います。つまり、意図が先で、調査はそのために利用した、ということですね。
だとしたら学力低下問題についても、どんな調査によってそれが証明されるのかを注意深く分析しなければならないのではないでしょうか。
そして、その調査が、いったいなんの目的で利用されたのかも見ていかなければなりません。
そのことについてズバリ解答を示してくれているのが、右サイドバーでも紹介させていただいている、子安潤氏の「反・教育入門」です。
子安氏によると、調査に利用される資料は、「IEA(国際教育到達度評価学会)のものと、「PISA(経済開発協力機構が行った調査)」」であると言います。
IEAは、数学と理科の調査です。数学の日本の順位を見ていくと、1964年…2位、1981年…1位、1995年…3位、1999年…5位。
これだけ見ると確かに順位が下がっているように見えますが、実は参加国数と、参加国に違いがあるということです。つまり、当初は数学の場合22ヵ国。しかも、シンガポール、韓国、台湾といった国は参加していませんでした。その後参加国が増えたので、この順位だけでは学力が低下したかどうかは判断できないことは小学生でもわかります。
また、PISEの調査では、読解力が「低下傾向」にあるものの、数学的リテラシー、科学的リテラシーは日本は今でもトップグループにいると判断されています。
このように、政府やマスコミが声高にさわぐほど、実は学力は低下していないのではないかというのが私の判断です。
だとしたら、なぜ今、学力低下問題がとりあげられるのかを考えていかなければなりません。詳しくは、子安氏の「反・教育入門」を読んでみてください。
ちなみに私は一方で、ペーパー解答型の学力(それが本当に学力といえるのかという疑問を持ちつつ)は、格差が広がっていると判断しています。しかし、その苦手な子の様子を利用して、学力が低下していると声高にさけぶのは、政府の無責任な姿勢であると言わざるを得ません。
コメント (0) /トラックバック (0) /wrote by しおちゃんマン