【本】空中ブランコ
今話題になっていて、「笑える本」だということだったので購入して読んでみました。
空中ブランコのジャンプがうまくいかないサーカス団員、尖端恐怖症のヤクザ、教授のカツラを剥がしたくなる強迫観念に襲われる大学病院医師、ファーストにボールを投げなれなくなってしまったプロ野球選手、登場人物の設定が以前書いたことがあるのではないかと気になって作品が書けなくなった女流作家、現代の社会の枠に囚われるがゆえに精神的に病んでいく人たちが、主人公の精神科医伊良部の元に訪れます。
そしてこの伊良部という医師が型破りというか、常識がないというか、ハチャメチャな医師で、作品中では「五歳児なみの行動」といった表現で紹介されています。
ところがここに訪れる人たちは伊良部との出会いの中でしだいに自分を解放し、良い方向に向かっていきます。これが伊良部の治療のねらいなのか、もともと伊良部がそういう人間なのかは定かではありません。
いずれにしても作者は、こういった常識に囚われない精神科医を登場させることで、社会の枠とか常識をとっぱらってしまったらどうなるのかということを問うているのだと思いました。なぜなら今の精神的な病は、こういった「常識」という枠の中の社会にあると思われるからです。
しおちゃんマン的に気になったのは、これだけハチャメチャな精神科医の伊良部を、大学病院の跡取り息子、しかも父親は学部長という設定にしてあることです。これはなぜなのかをぜひ作者に聞いてみたくなりました。
社会の枠にとらわれないハチャメチャさは、結局そういった立場でないと生きられないという社会への痛烈な皮肉なのだったら歓迎したいと思いました。
ちなみに作者は、1959年生まれで、私とほぼ同世代でした。
wrote by しおちゃんマン
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