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2004年08月16日

柔道・野球・サッカー

 オリンピックで、柔道のスタートが順調ですね。「柔道は競技人口が少なくて、日本が発祥地だから強いのはあたりまえ」という声があるかもしれませんが、実は世界の中では、柔道はサッカーに次いで競技人口が多いそうです。

 ヨーロッパの国の中には日本よりも競技人口が多い国もあるほどです。このように世界的に広がっている柔道でメダルがとれるということは胸をはっていいと思います。

 一方、野球とサッカーがイタリアと対戦しました。

 野球は大勝しましたが、サッカーは得点差以上に力の差を感じました。日本がイタリアの野球を見るような目で、イタリアは日本のサッカーを見ているのかもしれませんね。

 さて、少なくとも私のまわりでは、柔道をやっている子どもというのはあまり聞きません。男子の場合ほとんど野球かサッカーです。市内の中学校でも、指導教員がいないことや、部員の希望者がいないということで柔道部がなくなりました。にもかかわらず日本が柔道が強いのはどうしてでしょうか? 

 そのことを考える上で驚いたことは、子どもたちが柔道をやろうと思えば、日本のどこに住んでいても柔道ができる体制(指導者や場所)が整っているということです。野球やサッカーも同様のように思えますが柔道にはかなわないということでした。(これは意外でした)
 
 ただ、やる子が少なくなってきているのが柔道の悩みで、やりたい子はたくさんいるけど、それを受け入れる環境が整っていないのが野球やサッカーだそうです。野球やサッカーは特に場所の問題が大きいとか。

 それでは、野球が強くてサッカーがまだまだ弱いのはどうしてでしょうか?

 これはやはり「伝統・歴史」の問題だと思いました。

 伝統や歴史があるということは、私たち日本人がそれぞれの競技の「ストーリー」を知っていて、国民がそれを共有できるということです。

 私の世代で言えば、王、長嶋のプレーは目に焼きついているわけで、他の人ともその話題で「話ができる」ということです。つまり「文化」になっているということです。

 そして子どもたちは、それらのプレーをお手本にしたり目標にしたりして「あんな選手になりたい」と夢を持つわけですね。そういったことがあることが「伝統・歴史」があることの強みだと思います。

 さて、これらの競技の未来はどうなのでしょうか?

 まず柔道は、このままでは弱くなってしまうような気がします。環境が整っていても、それをやる子どもたちがいないとどうしようもないわけです。相撲で外国人力士のほうが強くなってしまっていますが、柔道もその道を歩んでしまう心配があります。

 柔道界にとってオリンピックや世界選手権は子どもたちへの宣伝効果の場としてとても大切なわけですね。「柔道ってかっこいいな」と思う子どもたちがもっともっと増えてくれるといいですね。

 一方、野球は弱くなって、サッカーは強くなるような気がしました。

 そのように考えた理由の一つ目は、地域や子どもたちとの「距離」の問題です。

 地域に密着したJリーグ型の組織は、必ず子どもたちに夢を与えて、「Jリーガーになりたい」と考える子がこれからどんどん増えてくるような気がします。

 それに対して野球はトップの組織(プロ野球)が企業宣伝型で、一部の球団を除いて地域とどんどん乖離してしまっています。つい最近までは、プロの選手とアマチュア選手との交流も禁止されていたほどです。また今回のようなゴタゴタは、ますます野球離れを進ませるような気がします。

 ちなみに今後は、競技によって地域性が出てくるのかもしれません。

 ○○県は野球が盛ん、○○県はサッカー、○○県は柔道をやる子が多い…といった具合に、他の競技においても地域性がはっきりとしてくるような気がしました。

 二つ目は、子どもたちの生活への浸透性の問題です。

 我々の頃は空き地があって、仲間が集まれば野球ができる環境にありました。しかし今は、お金を払ってチームに入らなければ子どもたちはなかなか野球に接することができません。一方サッカーは、一人でリフティングなどで遊んでいる子どもたちの姿をみかけます。つまり「子どもたちの生活の中にサッカーは入りつつあるが、野球は遠のいている」ということです。

 三つ目は、野球は他国と比べて誇れる競技になりにくいということです。そういった意味で、サッカー並みのワールドカップが「日本の野球にとって」必要だと思いました。

 少子化が進む中で、日本のスポーツ界は、「勝負する競技として」明るいとは言えません。また、お金を払える者だけがスポーツができるということにも疑問を感じます。

 スポーツというのは「勝ち負け」だけでなく「参加する」楽しさもあるはずです。つまり、一流選手を育てるための予算だけでなく、国民のスポーツする権利を国はもっと保障するべきだと考えています。そしてそのことが、結果として世界に誇れる競技や選手を育てて、子どもたちに夢を与えることにつながるのだと思っています。

コメント (2) /トラックバック (0) /wrote by しおちゃんマン